独自ドメインを取ったあと、地味に悩むのがメールです。
[email protected] や [email protected] を使いたいだけなのに、そのためだけにメールサービスの月額費用が増える。個人開発や小規模なサービスでは、少しもったいなく感じる場面があります。
そこで使えるのが、Cloudflare Email Routingで受信し、Resendで送信する構成です。2026年9月現在は条件が合えばGmailの画面にまとめることもできます。
この構成で面白いのは、メールを「受信」「送信」「操作画面」に分けて考えるところです。専用のメールボックスを1つのサービスから買わなくても、それぞれ得意なサービスを組み合わせれば成立します。
先に結論。役割はこの3つです
- Cloudflare Email Routing:独自ドメイン宛のメールを受信して、普段使っているメールアドレスへ転送する
- Resend:独自ドメイン名義でメールをSMTP送信する
- GmailなどのメールUI:実際にメールを読んだり、返信したりする画面として使う
受信側は次の流れです。
相手
↓
[email protected]
↓
Cloudflare Email Routing
↓
普段使っているGmail送信側はこうなります。
GmailなどのメールUI
↓
Resend SMTP
↓
From: [email protected]
↓
相手Cloudflareは転送係、Resendは発送係です。メールの機能を分けるだけで、専用メールボックスの固定費を抑えられます。
Cloudflare Email Routingで独自ドメイン宛のメールを受け取る
Cloudflareには Email Routing という機能があります。独自ドメイン宛に届いたメールを、確認済みのメールアドレスへ転送できます。
たとえば [email protected] に来たメールを、普段使っている [email protected] へ転送できます。
Cloudflareの公式ドキュメントでは、Email Routingの転送先として確認済みメールアドレスを設定できることが案内されています。転送自体は無料で利用できます。
Cloudflare公式:Email routing rules and addresses
Catch-allを使えばアドレスを毎回作らなくていい
さらに便利なのが Catch-all です。
Catch-allを有効にすると、特定のアドレスだけでなく、そのドメイン宛のメールをまとめて1つの転送先へ流せます。
[email protected]
[email protected]
[email protected]
[email protected]
[email protected]
↓
同じ受信箱へ転送たとえばサービス登録ごとに [email protected]、[email protected] のようにアドレスを変えても、見る受信箱は1つです。
Cloudflareは公式にCatch-allルールをサポートしています。ただし、存在しないローカルパート宛のメールも受けるため、迷惑メールが増えやすい点には注意が必要です。不要ならCatch-allを使わず、必要なアドレスだけ個別に作れば問題ありません。
送信はResendに任せる
Cloudflare Email Routingは受信と転送の仕組みです。[email protected] 名義で送信する機能は別に用意する必要があります。
そこで使えるのが Resend です。
Resendは開発者向けのメール送信サービスですが、APIだけでなくSMTPにも対応しています。そのため、SMTPを設定できるメールクライアントから独自ドメイン名義で送信できます。
2026年9月時点のFreeプランは、月3,000通、1日100通、確認済みドメイン3個までです。個人開発や小規模サービスの連絡用途なら、無料枠に収まるケースも多いでしょう。
Resend側ではドメイン認証をする
Resendから独自ドメイン名義で送信するには、先にドメインを追加してDNS認証を行います。
Resendの管理画面に表示されるDNSレコードをCloudflare側へ追加し、ドメイン所有を確認します。送信ドメイン認証ではSPFやDKIMなどが使われます。
ここを省略すると、なりすまし判定や迷惑メール判定の原因になります。「Fromだけ独自ドメインに変えればいい」という話ではなく、DNS側の認証まで含めて設定するのが前提です。
ResendのSMTPを使う
ResendのSMTPホストは次の通りです。
SMTP host: smtp.resend.com
Username: resend
Password: Resend API Key
Port: 465 または 587つまり、送信側はResend専用アプリである必要がありません。SMTPサーバーを指定できるメールクライアントなら利用できます。
2026年現在はGmailの「別のアドレスから送信」も使える
Gmailには、所有している別のメールアドレスを送信元として追加する「送信元」機能があります。
設定できるアカウントでは、Gmailの「アカウントとインポート」から独自ドメインのメールアドレスを追加し、SMTPサーバーとしてResendを指定できます。
これが設定できれば、受信はCloudflareからGmailへ転送し、返信はGmailからResend SMTP経由で送信できます。普段の操作画面をGmailにまとめられるわけです。
ただし、ここには2026年9月時点で大きな注意点があります。
重要:Gmailのサードパーティ「送信元」は2027年1月に終了予定
Googleは、2027年1月からGmailでサードパーティメールアドレスを「送信元」として使う機能を終了すると案内しています。
さらに2026年第3四半期から第4四半期の移行期間には、新規設定を制限する可能性も案内されています。この記事を書いている2026年9月は、まさにその移行期間です。
そのため、今からこの構成を作る場合に「Gmailまで必ず設定できる」とは言えません。既存設定では利用できても、新規設定が制限される可能性があります。
Google公式:Gmailでのサードパーティメールアカウントのサポート変更について
ここは記事の公開時点で必ず押さえておきたいポイントです。
それでもCloudflare + Resendは使える
Gmailの仕様変更で、この考え方自体が使えなくなるわけではありません。
本体はあくまで次の2つです。
- 受信:Cloudflare Email Routing
- 送信:Resend SMTP
Gmailは、その2つをまとめて扱うための操作画面の1候補です。Gmailの「送信元」が使えなくなった後は、複数の受信アカウントとカスタムSMTPの送信Identityを扱えるメールクライアントなどへ移行することになります。
つまり、Cloudflare + Resendをメール基盤として使い、UIは交換可能にしておくのが長期的には分かりやすい設計です。
Google Workspaceの代替になるのか
完全な代替ではありません。
Google Workspaceにはメールだけでなく、Google Drive、Calendar、Meet、ユーザー管理、組織のセキュリティ管理などがあります。社員が複数いてアカウント管理まで必要なら、Google Workspaceを使った方が運用は楽です。
一方で、次のような用途ならCloudflare + Resendはかなり相性が良いです。
- 個人開発の問い合わせアドレス
- PoCや新規サービスの連絡先
- LP用に取得した新しいドメイン
- 小規模法人の代表アドレス
- 一時的なプロジェクト用アドレス
「メールアドレスが1つ欲しいだけなのに、最初から人数分のメールサービスを契約するのは重い」という状況で特に効きます。
この構成でできないこともある
安いからといって、普通のメールサービスと同じではありません。
- Cloudflare Email Routingはメールボックスではなく転送サービスです
- Resendも一般的なIMAPメールボックスではなく送信基盤です
- 送受信の履歴をサーバー側で1つのメールボックスとして同期する構成ではありません
- 組織のユーザー管理や退職者アカウント管理には向きません
- Catch-allは便利ですが迷惑メールも拾いやすくなります
企業の正式なメール基盤を全部これに置き換えるというより、小さく始めたい用途の固定費を減らす方法として考えるのが適切です。
メールも「全部入り」を買わずに分解できる
この構成で一番面白いのは、無料ということよりも考え方です。
Webシステムでは、認証、データベース、ストレージ、CDN、メール送信を別サービスに分けることが普通になりました。メールも同じように、受信、送信、操作画面を分けて組み合わせられます。
受信 Cloudflare Email Routing
送信 Resend SMTP
UI Gmailなどのメールクライアント「独自ドメインメールが必要だから、メールボックスを契約する」と決めつけず、必要な機能だけを組み合わせる。小規模な用途では、それだけで固定費をかなり小さくできます。
まとめ
独自ドメインメールは、必ずしも1つのメールサービスですべてを用意する必要はありません。
- Cloudflare Email Routingで受信する
- Resendで送信する
- 必要に応じて普段使っているメールUIへまとめる
CloudflareはCatch-allにも対応し、ResendのFreeプランは2026年9月時点で月3,000通、1日100通、3ドメインまで利用できます。
一方、Gmailのサードパーティ「送信元」は2027年1月に終了予定です。今後はCloudflare + Resendを本体として考え、操作画面は交換できるものとして設計しておくのがよいでしょう。
個人開発や新規サービスで「とりあえず独自ドメインのメールが欲しい」というときには、覚えておいて損のない構成です。
※料金や無料枠、Gmailの仕様は2026年9月16日時点の情報です。各サービスの最新情報は公式ドキュメントをご確認ください。