もう一人の自分!?やめろ!思考を外部装置にすると強いけど、俺はどうやってるか
「AIにもう一人の自分を作る」という話を見ました。
もう一人の自分!?やめろ!
ただ、自分の経歴、価値観、判断基準を外へ出し、AIに参照させる考え方自体は強いです。元の記事では、それらを「思想哲学データベース」としてまとめ、全体像、テーマ別の詳しい記録、更新履歴の三つに分けて管理していました。
俺も方向としては同じことをしています。ただし、保存しているのは思想だけではありません。
自分の人格と頭の使い方を数値にし、仕事・経営・私生活の行動データと照合しながら、AIに持たせた自分の人物像を更新し続けています。
俺のやり方を一行にすると、こうです。
経歴・価値観
+ 性格と認知の数値
+ 実際の行動記録
→ AIが仮説を出す
→ 現実と照合する
→ 外れたら更新する
思想だけを入れると、自己紹介が強くなる
経歴、原体験、価値観、過去の判断をAIへ渡すと、答えはかなり変わります。何も渡さなければ平均的な正論が返ってきますが、判断の背景まで渡せば、「この人なら何を重く見るか」を踏まえた答えになります。
元の記事は、経歴と原体験、影響を受けた人物、核心となる思想、現実の判断へ変えるルール、文章表現の決まりまで外へ出していました。仕事観や家族観などは別ページに分け、考えが変わった理由も更新履歴として残しています。ここまでは普通に使える方法だと思います。
ただ、人物の特性として、StrengthsFinder、MBTI、「思考の癖」「動き方の癖」が同じ場所に並んでいました。最後の二つは、本人が自分をどう見ているかです。検査結果とも、実際の行動とも違います。
自分で「判断が早い」「人に任せる前に手が出る」と書けば、AIはその人物像に合う説明を作れます。でも、それだけでは本当にそう動いているか分かりません。
思想を外へ出すことは強い。ただ、自己申告だけで作ると、AIが本人の自己紹介をもっともらしく補強するだけになる。そこで俺は、自分についての情報を最初から分けています。
自分についての情報を、五つに分ける
俺の分析では、自分に関する情報を次の五つに分けています。
種類 | 入れるもの |
|---|---|
自己申告 | 自分で語った経歴、価値観、強み、弱み |
検査・数値 | 性格検査、認知特性の自己評価、測定結果 |
第三者の評価 | 顧客、社員、友人などから実際に言われたこと |
行動記録 | 社内の会話、作業履歴、営業、経営管理、生活の記録 |
AIの分析 | 複数の情報から出した仮説、反証、修正履歴 |
たとえば「話が早い」という一文でも、自分でそう思っているだけなのか、顧客から実際に言われたのか、相談から提案までの時間が短かったのかでは意味が違います。同じ内容でも、根拠の種類が違います。
AIが出した分析も、事実にはしません。「複数の記録から見ると、こういう傾向がありそう」という仮説として保存します。本人が訂正したら訂正を優先し、新しい行動が増えたら、以前の分析がまだ成り立つかを見直します。
完成した自己紹介を一度作るのではなく、自分についての仮説を更新できる形で持つ。ここが俺のやり方の土台です。
人格はHEXACO、頭の使い方は本田式で見る
俺は、自分の人格を数値にしています。
StrengthsFinderより、HEXACOと本田式の方が、仕事上の強みや事故条件を考えるには使いやすいと思っています。StrengthsFinderは強みを言葉にするには便利ですが、「どんな仕事なら進みやすいか」「どこで止まりやすいか」までは分かりにくいからです。
HEXACOでは、性格を六つの大きな傾向と、その内側の細かい項目に分けて見ます。俺の結果では、勤勉さが5点中4.75ある一方、決められた手順を守る傾向は1.50、細部を完璧に整える傾向は1.00でした。
この三つをまとめて「真面目か、不真面目か」で見ると意味が分からなくなります。実際には、難しい問題の調査や設計には長時間取り組める一方、顧客管理や定例更新のように、同じ手順を維持する仕事では抜けが出やすい。
つまり、「働かない」のではなく、目的へ向かう勤勉さと、定型管理を続ける力が別です。この違いが分かれば、本人へ気合を求めるのではなく、定型管理を人や仕組みに渡すという判断ができます。
性格だけでは、情報をどう処理しているかまでは分かりません。そこで本田式を参考に、目で見た情報、耳から入る情報、言葉、数字、空間、単純処理をどのくらい扱いやすいかも数値にしています。
ただし、本田式は今のところ自己評価です。本当は、正式な知能検査も加えたいと思っています。欲しいのは「IQが高い、低い」という一つの数字ではなく、言葉、視覚、記憶、処理の速さがどう偏っているかです。
でも、検査の数字を増やしただけでは、まだ自己分析です。本当に使えるかは、実際の行動で確かめないと分かりません。
数字を、仕事と私生活の行動記録で答え合わせする
俺についての行動は、すでにいろいろな場所へ残っています。
社内の会話には、何に反応し、何を決め、どこで判断が変わったかが残ります。PM on RailsやGitHubには、何を作り、何が止まり、どこを直したかが残ります。顧客や案件の管理には、次の行動を入れたか、連絡が止まったかが残ります。予定や学習の記録には、何を続けられ、何を忘れたかが残ります。
俺は、自分でAIも作っています。経営でも、仕事でも、私生活でも使っています。だから、それぞれを一回の相談で終わらせず、過去の会話、判断、結果を後から参照できるようにしています。
更新は、次の順番です。
- 経歴、価値観、検査結果、第三者評価、行動記録を入れる
- 事実、自己申告、数値、AIの仮説を分ける
- AIに、繰り返している傾向と反対の証拠を探させる
- 新しい行動が出たら、以前の分析と一致するか確認する
- 合わなければ、分析と判断ルールを修正する
一つの出来事だけで人格を決めないことも重要です。開発では出るが営業では出ない傾向なのか。仕事だけでなく私生活でも繰り返すのか。期限、体調、相手、仕事の曖昧さで結果が変わるのか。条件を分けて見ます。
重要な仮説については、後から説明するだけでなく、先に予測を保存する実験もしています。「この条件ならどこで止まりそうか」「何を変えれば進みそうか」を日付付きで残し、その後の記録で当たり、外れ、確認不能を分けます。
これはまだ検証中です。人間の行動を高い精度で予測できると証明した段階ではありません。ただ、外れた仮説まで残すことで、自分に都合のいい分析だけが蓄積するのを防げます。
文章だけではなく、判断の途中で使う
思考を外へ出すと、自分の文章に近い文章も作りやすくなります。過去の発言、好む表現、避ける言い回しを参照させれば、誰が書いても同じ文章にはなりにくいです。
ただ、用途は文章作りだけではありません。
案件の価格をどうするか。誰に仕事を任せるか。新しい事業へ入るか。失敗を本人の注意不足として扱うか、仕事の設計を変えるか。こうした判断のときに、過去の判断、似た失敗、現在の数字、反対の証拠をまとめて見ます。
たとえば、異常を見つけると自分で仕事を取り戻しやすい傾向が行動記録に出ているなら、「もっと委任を頑張る」で終わらせません。定型管理は人か仕組みに渡し、異常だけ自分へ上げるようにする。自分が再び責任者へ戻った回数を記録する。人物分析を、会社の設計へ戻します。
私生活でも同じです。予定を覚えさせるだけではなく、何を忘れやすいか、何時なら続きやすいか、前回どこで止まったかを使って、次の行動を調整します。
外へ出しているのは答えではありません。判断に使った材料と、その判断がどうなったかです。だから次の判断で使い直せます。
もう一人の自分ではなく、更新される外部装置です
俺が作っているのは、俺の口調で話す人格ではありません。
外へ出しているのは、経歴、価値観、性格、認知特性、実際の行動、判断の理由、失敗、訂正、更新履歴です。AIには、それらを探し、比較し、矛盾や反証を出す仕事をさせます。
何を目指すかを決めること、どの判断を採用するかを決めること、結果に責任を持つことは俺がやります。
元の記事は、思想を外部記憶にするとAIへ仕事を任せやすくなる、という話でした。俺が加えているのは、保存した人物像をそのまま信じず、検査の数値と実際の行動を照合し、違っていたら更新する仕組みです。
思考を外部装置にすると強いのは、自分を複製できるからではありません。
自分の考えを後から確認し、現実と比べ、間違っていたら直せるからです。