遠方に住んでいて故郷の墓参りができない人のための、墓参り代行サービス「日墓連」を進める久田さんは、2026年10月5日に、Beekleの「ゼロスタート」で経営DXが形になる過程を体験していただきました。ゼロスタートは、曖昧なビジネスアイデアを最速でプロトタイプにし、そこからビジネスを加速させるサービスです。
当初は「ネットがあったらいいけど、なくても小さく始められる」規模で考えていたという久田さんに、実際に何が起きたのか、どこに価値を感じたのかを聞いてみました。
「ひとりで小さく始める」想定を、数時間で追い越された
鶴岡
まず「ビジネスを立ち上げたい」というアイデアがあって、そこから始まりましたよね。ゼロスタートのコンセプトは、曖昧なアイデアを実ビジネスに一瞬で展開して、爆速でプロトタイプを作り、その人のビジネスを加速させることです。実際に体感してみてどうでしたか。
久田
その目的に、かなりフィットしていたと思います。僕の場合、もともと労働集約型のビジネスとして考えていて、ネットがあったらいいけど、なくても小さく始められるくらいの規模感でした。ゼロスタートにも「こんなホームページを作りたいです」くらいしか言っていなかったんです。
それが、2〜3時間でできあがったものは「ひとりで小さく始める」ところではなくて、これから未来のスタッフを入れた場合にどこまで管理していくか、という提案と、その機能の実装でした。本人の熱量以上のものをゼロスタートが提供してくれている、という驚きがありましたね。
鶴岡
基本的にヒアリングをして、相手は当然ドメインのプロなので分かっていることが多いんですが、こちらもITのプロなので「そのビジネスだったらこういうものがいい」「コスパ的にこれが必要になる」「逆にこれはいらない」と言ってあげられる。相手の期待値を120%で超えていくことは、会社としても掲げているところです。
久田
普通のB2Bの感覚で言えば、100をやりたいと言って100を完璧に作ってくれたら、それだけで相当優秀な会社だと思います。それが、僕の想像を超えたところまで、実質2〜3時間で形になっている。信じられないスピード感と成果物のパフォーマンスでした。
AIは言われたことしかやらない。差が出るのはヒアリングと要件定義
鶴岡
言われたことをやるだけの会社が多いのかなと思っていて、昔はそれでもすごかったんですよね。でも今はAI時代なので、そうではない。久田さんも途中まで、Claudeなどを使って自分でサイトを作ろうとされていましたよね。技術者が提供する価値は「こういう選択肢もあるよ」と提示できることだと思っています。今のAIは言われたことしかやらないので、未来への完璧な提示は苦手です。
久田
僕はコーディングが自分の手ではできないので、そこでAIに限界を感じてしまいました。AIを使い慣れていなかったり、課金していなかったり、ホームページを作るスキルも高くない状態だと、自分でやれる範囲に限界があるんです。質問を投げていけば精度の高そうなものはできるんですが、コーディングになると「ここをこうしたい」という修正が延々と出て、貼り付けたらエラーを起こして動かなかったりする。かなりの時間が溶けている感覚はありました。課金していないと質問の上限が来て翌日に回す、という人も多いと思います。
鶴岡
AIは加速機と言われますからね。分かっている人が使うと加速する。粘り強くやればやれるとは思いますが、しんどいですよね。エンジニアがやっても2〜3日かかることはありますし。
久田
逆インタビューになってしまいますが、「AIでできそうなのに、なぜ他者に依頼するのか」という価値観の人もいると思うんです。同じエンジニアでも、ゼロスタートのように高いパフォーマンスを出せる人と、結局2〜3日かかる人の違いは何なんでしょう。
鶴岡
シンプルに、ヒアリング能力の差が大きいと思っています。あとは基礎力。AIを使っていてもうまくいかないプロジェクトはあって、目的に沿っていないものや不要なものを作ってしまう。うちは要件定義が比較的うまいというか、「このお客さんはこういうことがしたい」と、お客さんが気づいていないレベルで提案するからだと思います。そこまで見えているから、AIで走らせても「これが欲しかったんだよ」となる。
久田
会社によっては、自社のリソースで何ができるかが先にあって、要件定義のための要件定義をしてしまう。ヒアリングの中で、結局どこに着地させるかが決まっているケースもあると想像しています。
鶴岡
「あなたのやりたいことは、ビジネス的にはこれですよね。技術でできるのはこれです」と言って落としどころをつけるのは、うまい方だと思います。経験もありますし、お客さんの要求を整理するフレームワークも公開しています。ただ、会話だけだとずれていくので、やはりプロトタイプが必要になる。最速でプロトタイプを作って修正していくのが、いちばん安牌だと思っています。一発でお客さんの欲しいものを出すのは無理で、どうせ修正が出ますから。
ビフォー/アフター:部門別に頼んでいたコンサルと技術が、リアルタイムで一体になった
鶴岡
開発会社というよりは、昔からうちはコンサル会社に近いのかなと思っています。大抵の会社はコンサルだけ、開発だけ、どちらかなんですが、それだと良くない。大きな案件でも技術者の目線を入れないとダメで、技術者が見ると「ここってなんでこうなっているの」「こうした方が良くない」という疑問が湧いてくる。それがエンジニアが介在する価値だと思います。
久田
今の言い方はすごくしっくりきました。僕の体験をビフォー/アフターで言うと、ビフォーは、事業に口出ししてくれる人はいる。ただ、ホームページを構築したり自社サービスとして作り上げたりするのは別の人に任せなければいけなくて、持つべきメンターが部門別に必要で、しかも時間がかかっていた。
ゼロスタートはコンサルの要素も技術的な要素もあって、それがライブ感で進んでいく。もう一緒になっているし、道筋のアウトプットまでが数時間でMVPとしてできている。それがアフターです。
実例を挙げると、昔グッドパッチが出していた「Prott」というサービスがありました。紙で絵コンテを描いて、画面上のボタンを押すと画面の遷移が分かる、というもので、プロトタイプとしてはそれが限界だったと思います。でも今のゼロスタートなら、デザインとしての想像をプロトタイプにするのではなくて、非公開を公開にすれば成り立つレベルで全部できている。
鶴岡
そうなんですよね。そしてビジネスは成長するものなので、そこからお金がかかる。AIで安くなったとはいえ、システムはどんどん変わっていくし、保守もいる。
意識していなかったセキュリティまで、最初から担保されていた
鶴岡
エンジニアが介在する価値で言うと、この間のセキュリティ事件のようなときに、しっかり判断できるかというと怪しいと思っていて。ここは一旦サービスを閉じるべきか、どう対策していくべきか、というコストパフォーマンス的な判断。そこに価値があると思っています。常に見張っていないといけない世の中になってきているので、放り投げてしまった方が楽ですよね。
久田
セキュリティの部分は、この一連の中であまり認識していませんでした。ゼロスタートに話を戻すと、数時間のやり取りでスタートした段階で、セキュリティ面も担保されていると考えていいんですか。
鶴岡
基本的には担保した上で作っています。常にアップデートしているテンプレートを作っておいて、一気にやるので。ただ難しいのは、2〜3か月ごとに常識が変わってしまうこと。2か月前には正解だったものが2か月後には不正解になっていることがあるので、常にゼロスタートをやるための準備が必要なんです。それを自社でずっと内製化するのはきつい、という話ですよね。
久田
全体として120%だった、とも言えるんですが、中身を覗いてみると、セキュリティの問題はまさに、ひとりでやろうとしている人とプロに入ってもらった人の違いをすごく感じたところです。僕の感覚は「何でもいいから動かして反応を見たい」というスタンスだったんですが、鶴岡さんの目線では、その数倍気を使ってもらっていて、僕の知らないセキュリティのところまでしっかりしてくれている。「そこまでする必要あるの」というくらいの感覚なんですが、まさに言われた以上のことを出していただいている。
鶴岡
言われたことをやるだけだと良くないと思うので。これは今の時代だからというよりは昔からそういう性格で、それをもとに会社をやっている、というところですね。
熱量が冷める前に、アクションアイテムまで形になる
鶴岡
個人の能力に依存すると良くないので、基本的には要件定義やヒアリングはフレームワーク化しています。自社のPMエージェントのPM on Railsを作っているのもそうで、ヒアリングした内容を議事録に入れて、PM on Railsに入れて整理して、作って、プロトタイプを見せる、という流れ。完全にプロセス化されているのは、うちの強みだと思います。今回もヒアリングした内容をテキストをPM on Railsに入れて仕様を整理して一気に作りました。
久田
たまたまゼロスタートが開発の領域をやっているだけで、ヒアリングをして何かを実現する高速の回し方自体が、ひとつの資産になっているんだと思います。
鶴岡
それが本質ですね。高速にサイクルを回す。最初のスピードが速いので、そのまま高速でサイクルを回すことで、コストが減って正解にたどり着ける。回している間に技術者の判断を入れまくることで、正解に近づく。AIモデルはそのお客さんのドメイン知識を持っているわけではないので、外から入れてあげたりヒアリングしたりしないといけない。そこはAIにはやれないことだと思います。
久田
僕はまさに「正解が分かっていない」タイプの人間ですが、その事業を、具体的な判断ができる状態まで持っていってくれた印象です。
鶴岡
久田さん、前に「ライブ感」「エンタメ感」があるとおっしゃっていましたよね。
久田
ありますね。ネガティブなイメージから始めると、アイデア出しをしていて「こんなことやれたらいいよね」と盛り上がっても、1週間、10日と経つうちに熱が冷めていく。企業の組織の中でも同じで、やろうと思ったことがヒューンと下がっていく経験は誰にでもあると思うんです。
それが「よし、やろう」と話している間にどんどんできていて、「あとはこれをアクションアイテムとしてやればいい」というところまでできてしまっている。映画『ソーシャル・ネットワーク』でマーク・ザッカーバーグが一晩でその場でアプリを作ってサーバーをパンクさせる場面がありましたが、例として正しいか分かりませんけど、あれに近い開発スピードで、だいぶワクワクします。
鶴岡
他のお客さんからも「一緒に参加できるのがいい」と言ってもらえます。今までの開発はベンダーに投げて、資料を投げて、だったと思うんですが、一緒に何か作り上げて一緒にテストするプロジェクトは初めてだ、と言ってました。前のベンダーは要件定義ができなくて失敗していて、5W1Hで誰が何をするかをまとめるだけの作業ができていなかった。うちは「こうしませんか」と言いつつ一緒に考えていくので、「一緒にやっている感がすごい」と言われましたね。
日墓連の場合:ドメイン取得からホームページ公開まで、数時間から1日
久田
遠方に住んでいて故郷の墓参りができない人のためのサービスを作ろうとしていて、何が正解かも分かっていない状態から始まりました。位置情報を利用して写真を見られるようにしたいとか、あったらいいなと思うことを、優先度もつけないまま「こんなのあったらどうですか」と並べていたのがスタートです。
そこから、最初のスタートに必要な機能に絞り落とす作業がヒアリングの中で行われて、どれくらいユーザーが来るか、こちらの人的リソースはどうか、もちゃんと聞いてくれた。「今必要な機能はこれくらい」と決まってからは、「ホームページはこういう形で作っています」「ドメインはここで取って投げてくれればできますよ」と進んでいった。自分でドメインを取ってホームページができるまで何か月もかかっていたものが、どんどんできあがっていく。途中の経過も見せてもらって、こちらの想像しているところにチューニングしてもらったり、その先に必要なところを提案してもらったりしました。
鶴岡
話しながら「これはどうしたらいいですか」とやって、4〜5時間後にはアップされていたんじゃないですかね。他のお客さんも大体そのくらいのスピード感で、難しいものは1〜2日いただきますが。
久田
ドメインはどこで買うのがいいか、「.co.jp」がいいのか「.com」がいいのか、というバランス感覚も引っ張ってくれる。AIだったら「どちらもいいよね」とメリット・デメリットを並べて終わる気がするんですが。
鶴岡
「この状況だったらこれをお勧めします」と提案と提案軸を渡すので、「じゃあそれでお願いします」とそのまま進む案件が多いです。うちのメンバーにも「提案とセットで言いなさい」と指導しています。大体このパターンだったらこれ、というのが決まっているので。
久田
僕は本当にひとりで何かをやりたい状況でゼロスタートを体験しましたが、決裁者と技術者と営業のような人が主要な面々で何か新しくキックオフするときも、「ちょっと待ってください」というスタンスでなければ100倍くらいのスピードで進むんじゃないかと思いました。
鶴岡
ブラックボックスじゃないのは、お客さんが喜んでいるポイントだと思います。今まではベンダーに投げてできてくるまで分からなくて、できてみたら失敗した、というお客さんがいっぱいいて、そういう会社の巻き取りをしてきました。最初から勝負をつけてしまえば早い。ゼロスタートである程度方向性を決めて、一緒に磨き込んでいく。まず低予算で始めて、そこからビジネスと技術にお金をどう分配するかを提案して、ベストな選択肢を渡す。
AI爆速プロトタイプ、爆速開発をする競合は増えてきましたが、本質は昔も今もコーディングがボトルネックではなかった。お客さんとの落としどころをつけるとか、ビジネスで何かを提案するとか、プロジェクトが失敗する要因はそこで、AIで作業はなくなりましたが、ぶっちゃけ変わっていない。未だに「そこで失敗しました」と言ってきてうちで引き継ぎになるお客さんは多いです。作業に対するアウトカムが出ているかが重要ですよね
実装された機能
久田さんのサービスに今回実装された機能は次のとおり。

- 案件管理と、どこまで対応したかが分かる進捗の追跡
- 商談と、見積もり依頼の情報の取得
- 公式LINEで、どのスタッフでもお客さんにメッセージできる、属人化しないLINEチャット
- 訪問予定の管理と、訪問日時の選択・設定
- 作業項目の報告。作業前・作業後の写真つきで、依頼主への報告もここでできる
- カレンダーによる、誰がいつ稼働するかの管理
初対面から本音で。「裏表がない」コミュニケーション
鶴岡
人間に判断力が必要だ、という話はよくされますよね。
久田
判断力という言葉よりは、Beekleの体験にはもう少し違う、人間の強みが宿っていると思っています。判断力もそうだし、推進力もそう。
鶴岡
いい問いを立てる、というところじゃないですかね。判断はAIでもできるので、いい問いを立てて、確認して、引っ張っていく。ゴールの立て方と、ゴールへのステップの刻み方が比較的うまいんだと思います。
久田
ゴールの旗も立ててくれるし、道筋の地ならしまでしてくれる感じがします。あとは走るだけです、という。今までは旗を立てる人はいても、地ならしは道路工事の人がやる、と分業されていましたから。
鶴岡
コミュニケーションについてはどう思われましたか。
久田
鶴岡さんとの出会いにさかのぼるんですが、2023年2月、ビジネスマッチングアプリで会ってオンラインで会議したのが最初でした。本当の初対面の状態でも、アイスブレイクや無難な会話から入るのではなくて、裏表がないから、協力するために慣れていく時間すらなかった。いきなり本音でぶつかっている、という分かりやすさがありました。今回は関係性があった上でゼロスタートに乗った形ですが、ゼロスタートを全く知らない人が体験しても、ほぼ同じ体験ができるんじゃないかと想像しています。
鶴岡
私はいつでもどこでも同じですね 笑 「あなたのためを思うなら、経験と知識と論理で、ビジネス的にはこれをするのがベストです」「そのために技術的にやらないといけないことはこれです」と言って、爆速で並走する。それは変わらない。合わないお客さんもいますが、押し付けはしないです。
技術者によくあるのは「技術的にはこれがベストなんです」と、技術の事情をお客さんにつけようとすること。俺はそうではなくて折衷案を出しに行くので、「それだったらこれがいいです。こういうリスクがありますが、これでカバーできるのでどうでしょう」という落としどころですね。
久田
技術の説明で論理で来ようとするか、ブラックボックスにしてしまう人は、確かにいました。
鶴岡
そう、ブラックボックスにしてしまう。「無理です」と言い切ったりね。媚びないというより、嘘はつかないんです。相手にとって不利益なことでも、ビジネス上こちらが得になるなら言う人はいるじゃないですか。それはビジネス倫理に反すると思っているのでしない。逆に、こちらが不利になることも正直に言います。ビジネスは知らない人同士の信用の取引だと思っているので、誠実な方が長期的にはいい。
久田
「信用が先で、お金は後からついてくる」とよく言われますが、本当にそれを体現していると思います。ビジネスサイドの人がちゃんと技術の勉強をして立ち上げるケースもありますが、どこかで技術面の限界が来て別の人を探す。そういう中で、鶴岡さんは何者なんですか。技術出身とも言い切れないし。
鶴岡
ビジネスサイドにはエンジニアに思われることが多くて、エンジニアサイドにはビジネスサイドに思われることが多いですね。
久田
あ、裏表がありましたね(笑)。
鶴岡
仕事の結果に対するコミットは、見ていてどう思いましたか。
久田
相手がどういう知識レベルでも気にしないでいてくれる、というところです。プロフェッショナルにとっては「ドメインってどこで買えばいいんですか」なんてしょうもなさすぎる質問だと自分でも分かるんですが、鶴岡さんの良さは「高いパフォーマンスを出せます」というコミットの話ではなくて、相手の技術レベル、知識レベルに合わせてまずそこに降りてきて、一緒に登ってくれること。人によっては、降りてくるのが普通はイラっとすると思うんです。全ての層を大事にしてくれているんだろうな、という安心感がありました。
鶴岡
Beekleでは「何でも聞いていいよ」を、本当に何でも聞いていいよ、にしているし、こちらも答えるのが当たり前だという雰囲気を作っています。俺の性格的なところが大きくて、エンジニアって質問されるのが嫌いなんですよね。職人気質で質問しにくいと、「これ聞いていいのかな」となってやりにくい。それが嫌だったんです。お客さんの立場に立って考えるのは、専門職として大事だと個人的には思っています。昔、問い合わせの電話で鼻で笑われたことがあって、めちゃくちゃ嫌だったので、そういうことはしたくない。大事なのはコミュニケーションを取って結果を出しに行くことで、「俺の仕事はこれだから」と区切ることではないと思っています。
久田
だから、タスクそのものへのコミットメントではなくて、大枠のゴールと、コミュニケーション全体がコミットメントのリストに入っている。その安心感がありますね。依頼主から見て、開発者が熱量を持って燃えてやってくれることは、事業としてはなかなかない。職人さんにはそういう人がいても、事業として気持ちが乗っているのはあまりないですよ。ゼロスタートを通すことで、その熱量がちゃんと見えるのはすごくいいと思います。
ゼロスタートをすすめたいのは、こんな人
鶴岡
最後に、どんなお客さんにうちをお勧めするか、聞いてもいいですか。
久田
僕なりにまとめたものがあります。同じ課題で悩んでいる人は多いと思うんですが、具体例を挙げると3つです。
1つ目は、投資家に「動くプロダクト」を持ち込みたい、本当に0→1の起業家。アクセラレータープログラムには、会社を立ち上げていなくてもアイデアだけで評価してくれるところもあるとは思うんですが、MVPがないために通過できなかった本当はいいアイデアが、どこかに埋もれているかもしれない。短時間で動くものができて、少し回して検証が済んでいる状態になれば、起業という営み全体がもっと盛り上がるんじゃないかと思います。
2つ目は、時間的・金銭的なコストが理由で、新サービスの立ち上げがうまくいっていない企業。大企業も中小企業も、規模は問いません。ひとつの事業軸だけでやっている会社というよりは、連続的にサービスを立ち上げるカルチャーがありつつ、立ち上げまでの時間が取られて踏み切れていないところに向いていると思います。
鶴岡
0→1は相性が良さそうですね。ピボットも得意ですし。
久田
3つ目は、僕が今回やったような労働集約型のモデルや、業務の属人化に困っている現場系の企業です。ITのサービスだけではなくて。
鶴岡
属人化の潰し方はうちは本当にうまいと思います。業務のDX、「ここをこうしたらコストが下がる」、データを使ってこういうことができる、というのは得意ですね。業務フローから設計できるし、ビジネスサイドが考える理想の業務フローより、エンジニアが作った方が効率的なんですよね。
久田
日墓連で言うと、当初は属人化していました。お客さんから依頼があったときに、依頼内容を管理して、どこのお墓で、どういう掃除の範囲を希望しているのか、作業の状況をどう共有するか、という土台は考えていた。でも実務的なプロセスで言えば、依頼を受け付けて、情報を管理して、作業を手配して、スタッフの完了報告を受ける、という見えない範囲の業務を回す必要があって、それをLINEだけでやり取りしようと思っていたんです。
それが、スタッフが能動的に入って作業できる状態になった。もしチームができたら僕がワンマンで動かして、ピラミッド的な支配の仕方でないと回らなかったものが、みんなが対等に共通の管理システムにログインできる。そのまま現場の業務としてやっていたらピラミッド構造になっていったはずの組織のあり方そのものが、結果として変わっていた。現場系のサービスをされている方には、そういう副産物があると思います。
鶴岡
BPOコンサルとシステムコンサルを、一瞬で両方やった感じですよね。システムの発想がある上で業務を見ると「こうした方が効率的だよね」と見えるので、経営のスケーラビリティを考えて対処できる。「この段階ではやらなくていい」「これは過剰だろう」という見極めも、ある程度うまいのかなと思います。
久田
あとは、3つのどれかに重なる部分もありますが、別の開発会社に投げていたもののコミュニケーションがうまくいかず開発が止まっているところや、AI初心者で自社でやってみたけれど止まってしまった、というところも、小さい範囲では普通に合っていると思います。
プロトタイプが速いこと自体が価値ではない
鶴岡
プロトタイプを見ることで「これだったらこんな風にもできるんじゃないの」と現場のスタッフに使わせて、現場によりフィットしたものになる、経営がより進化する。そこが強みですよね。プロトタイプが爆速で上がってくることが真の価値ではなくて、そこから先の未来まで一気に行けるのが価値だと思っています。
久田
ゼロスタートの思想は、ビジョンで終わっていないですよね。結局そこまで体験できていますから。
鶴岡
それがビジネスに全力で伴走するということだと思いますし、従来の人月商売ではなんだかんだ1人月100万円はかかるところを、一気にカットしてDXできる。ゼロスタートでプロトタイプを作ったからといって、そこから業務に合わせていいものを作るのは大変なので、DXしたい、経営をもっと良くしたい、というお客さんとは相性がいいと思います。
久田
当時のLINEを見返しているんですが、「こんなことできたらいいな」が一連の中で3つ4つあって、時間ごとに「できました」「できてる」「できました」と返ってきた。それがすごく嬉しかったですね。ドメインを取るところから始まって、本当にテストのメールが飛んでくるとか。
鶴岡
それがライブ感ですね。体感して満足していただいて嬉しいです。今後ともよろしくお願いします。