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ただ作るだけなら、もうAIでいい。開発会社は何を売るのか

昔から、うちは「これを作ってください」というお客さんとは、そこまで相性がよくありませんでした。

もちろん作れます。

でも途中で、たぶんこういうことを聞き始めるんですよね。

「これ、何のために作るんですか?」

「この機能、本当に必要ですか?」

「そもそも作らなくても解決できませんか?」

発注する側からしたら、若干めんどくさい。

作ってほしいと言っているんだから作ってくれ、という話です。ここはいいですね。

逆に、昔からめちゃくちゃ相性がいいお客さんもいました。

「利益を増やしたい」

「この業務のコストを下げたい」

「人を増やさず処理量を増やしたい」

「新しい事業をやりたい」

という目的だけが決まっていて、方法は任せる。いい感じにやってほしい。という会社です。

昔は単純に、うちの会社の得意不得意なんだと思っていました。

でもAIで開発するようになって、これ、もう少し大きな変化なんじゃないかなと思っています。

ただ作るだけなら、今はもうAIでかなりできる。

じゃあ開発会社は、これから何を売るんだ。

結局そこなんだと思います。

作るものが決まっているほど、AIに渡しやすい

例えば、画面も決まっている。必要な機能も決まっている。入力と出力も決まっている。どんな条件でどう動くかも決まっている。

ここまで整理されていれば、AIはかなり仕事ができます。

もちろん、複雑なシステムになれば設計も確認もテストも必要です。AIに一言投げれば全部完成する、という話ではありません。

ただ、以前と比べれば「決まった仕様を動くものにする」コストは明らかに下がっています。

そして、たぶんこれからもっと下がります。

そうすると、「御社からいただいた仕様書をもとに、弊社のエンジニアが開発します」だけでは、だんだん価値を説明しにくくなります。

AIもやるからね。

人間だけ高い理由を、別のところに作らないといけません。

「500時間を250時間にしたい」なら、システムを作るとは限らない

一方で、例えばお客さんから、「この業務に毎月500時間かかっています。250時間くらいにできませんか」と言われたら、話は全然違います。

まず業務を見ます。

何に時間がかかっているのか。なぜその作業をやっているのか。誰が判断しているのか。どこで待ち時間が発生しているのか。

すると、作る前にいろいろな可能性が出てきます。

そもそも不要な作業かもしれない。

仕事の順番を変えるだけで減らせるかもしれない。

今あるサービスを使えば済むかもしれない。

一部だけAIにやらせれば十分かもしれない。

それでも解決できないところだけ、新しく作ればいい。

この場合の目的は、システムを完成させることではありません。

500時間を250時間にすることです。

ここを間違えると、システムは完成したのにコストはあまり下がっていない、ということが普通に起きます。

完成しました。

で?

となる。

そもそも、その前提は正しいのか

海外経験がある方はわかると思うのですが、国際系の教育では、正解を覚えることよりも「その前提は本当に正しいのか」「なぜそう言えるのか」「別の考え方はないのか」と考える、いわゆるCritical Thinkingをかなり求められることがあります。

自分もその影響が強い気がします。

だから仕事でも、「このシステムを作りたいです」と言われると、そのまま受け取るより先に、「なんで?」となる。

なぜそのシステムが必要なのか。

何を改善したいのか。

今のやり方の何が問題なのか。

その問題は、本当にシステムを作らないと解決できないのか。

たぶんこの癖があるので、仕様をそのまま受け取って作る仕事とは、昔からあまり相性がよくなかったんだと思います。

逆に、まだ答えが決まっていない問題を渡されると、かなりやりやすい。

解決策を先に決めると、問いそのものが狭くなる

受託開発では、最初から「システムを作る」が決まっていることがよくあります。

そうすると、打ち合わせで考えることも自然と、「どんな画面にするか」「どんな機能が必要か」「どこまで自動化するか」になっていきます。

でも本当に解決したかったのが「利益率を改善する」だったら、もっと前に考えることがあります。

売価を変えるのか。

作業量を減らすのか。

外注費を下げるのか。

ミスによる手戻りを減らすのか。

一人あたりの処理量を増やすのか。

顧客そのものを変えるのか。

その中の一つとして、システム開発があります。

こっちの順番の方が自然な気がします。

先に作るものを決めてしまうと、解決策を考えているようで、実は選択肢をかなり捨てています。

AIは間違ったものも、ものすごい速度で作る

AIで開発速度が上がると、「何を作るか」を間違えたときの問題も少し変わります。

昔なら、大きなシステムを作るにはそれなりに時間がかかったので、途中で何度も人間が考える時間がありました。

今は違います。

かなりの速度で形になります。

これはすごく便利です。

でも、方向が間違っていたら、間違った方向にも速い。

普通に速い。

会社の利益を改善する話をしていたはずなのに、数週間後には誰も使わない管理画面が妙に完成している可能性があります。

なんで?

AIが悪いわけではありません。

言われたものを作っただけです。

そう考えると、AI時代に相対的に価値が上がるのは、実装の前にある判断です。

「何を作るか」より、「何を解くか」を決める仕事です。

仕様が固まってから呼ばれるより、その前に呼ばれた方がいい

これは、うちが実際に仕事をしていて昔から感じていたことでもあります。

仕様書が完成してから、「この通り見積もってください」と言われる案件では、基本的には決められた条件の中で勝負することになります。

一方で、「なんかこの業務まずいんですけど、どうしたらいいですかね」くらいの段階で呼ばれると、できることが一気に増えます。

そもそもの問題を整理できます。

現場の話も聞けます。

本当に困っている部分と、なんとなく不便だと思われている部分を分けられます。

その上で、何を変えるのが一番効くかを一緒に考えられます。

うちは昔から、こっちの仕事の方が明らかに相性がいい。

たぶん「開発が得意」というより、まだ答えが決まっていない問題を整理する方が得意なんだと思います。

経営課題は、システムだけ見ていても解けない

そもそも会社の問題は、技術だけでできていません。

例えば「利益が出ない」という問題でも、原因はいくらでもあります。

価格が安すぎるかもしれない。

顧客が違うかもしれない。

営業方法がおかしいかもしれない。

業務工程が多すぎるかもしれない。

そもそも儲からない仕事を大量に取っているかもしれない。

そこへ新しいシステムを入れたらどうなるか。

儲からない仕事を効率よく大量処理できます。

それはそれですごいけど、違う。

だからシステムの話から始めるのではなく、経営の数字から逆算した方がいいと思っています。

何を改善したいのか。

その数字はなぜ悪いのか。

どこを変えれば一番効くのか。

その後に、手段としてAIやシステムがあります。

うちと相性がいい会社も、かなりはっきりしてきた

そう考えると、Beekleと相性がいい会社はかなり明確です。

「この仕様を安く作ってほしい」という会社より、「売上を増やしたい」「コストを下げたい」「人を増やさず事業を伸ばしたい」「この業務をもっと楽にしたい」「新規事業を始めたいけど、何を作るべきかは決まっていない」という会社です。

そして、その後に、「方法は任せる」と言ってもらえると、かなりやりやすい。

システムを作る必要があるなら作ります。

AIだけで済むならAIを使います。

既存のサービスを入れれば終わるなら、それでいい。

業務をなくせるなら、そもそも作りません。

開発会社としては、作らないと売上にならないような気もします。

でも、お客さんからしたらその方がいいんですよね。

だったら、そっちを売った方がいい。

最初に聞くのは「何を作りたいですか?」じゃない

これから開発会社がお客さんに最初に聞く質問も変わると思っています。

「どんなシステムを作りたいですか?」ではなく、「何を良くしたいですか?」から始める。

売上なのか。

粗利なのか。

人件費なのか。

作業時間なのか。

ミスなのか。

顧客満足なのか。

まず変えたい結果を決めます。

次に、その数字を悪くしている原因を探します。

その後に解決方法を考えます。

必要なら最後に作ります。

作るのは最後でいい。

昔からうちは、ただ言われたものを作るより、こういう仕事の方が相性がよかったです。

AIで開発が速くなった今、その違いはさらに大きくなった気がします。

ただ作るだけなら、AIでいい。

だからこれから開発会社が売るべきなのは、コードを書く人数ではなく、お客さんが本当に解くべき問題を見つけて、結果が出る方法を考える力なんじゃないかなと思っています。