生成AIで「動く画面のたたき台」までは数日、そこから先は別の世界
生成AIを活用した受託開発において、初期の「動く画面」や「プロトタイプ(試作品)」を作るスピードは劇的に加速しています。
早ければ数日、通常でも1〜2週間程度で、サンプルデータが入って操作できるプロトタイプや、主要な画面遷移を確認できるようになっています。場合によっては、1〜2日で画面レイアウトと基本的な遷移のたたき台が出来上がることもあります。ただしここから、業務ロジック・認証・外部連携などを作り込む工程が本番です。
ただし、このスピード感について発注側が理解しておくべき注意点が2つあります。
注意点1:1〜2週間でできるのはあくまで「試作品」である
短期間で出来上がるのは、画面の見た目や基本的な画面遷移を確認するためのプロトタイプ(バージョン1)です。そこから本格的なシステムとして裏側の複雑な処理を構築したり、例外的なエラー処理を詰めたりしていく作業には、引き続き時間がかかります。ソフトウェア工学では、Tom Cargillが提唱した「90対90ルール」として知られており、最初の9割のコードが開発時間の9割を消費し、残り1割のコードがさらに9割の時間を消費する、と言われています。つまり、最初の8〜9割は短期間で作れても、残り1〜2割の品質作り込み(例外処理、エラーハンドリング、性能調整)に同じかそれ以上の時間がかかります。
注意点2:プロジェクト全体の期間が1週間で終わるわけではない
システムの企画から要件定義、プロトタイプの検証、本格的な開発、テスト、そして実際の稼働に至るまでの全体期間は、規模に大きく依存します。小規模な業務システムで3〜6ヶ月、中〜大規模で半年〜1年超が一般的な目安です。生成AIによってプロトタイプ作成は高速化しましたが、全体期間が劇的に短縮されるわけではないことを理解しておく必要があります。
まとめ
生成AIを使ったスピーディな開発は全体のコストや時間を抑えてくれますが、スピードを最大限に活かすには、「最初の1〜2週間で動くプロトタイプを作ってもらい、それを実際の現場スタッフに触ってもらって要望やズレを早期に修正する」という進め方が推奨されます。最初から完璧なものを目指すのではなく、超高速で作られたプロトタイプを土台にして議論をスタートさせることが、AI時代の受託開発を成功させる鍵となります。